海外紙から日本報道が消える?!


「海外紙から消える日本報道」、そんなショッキングなタイトルの記事が現在発売中(2004年春号)のジャーナリズム専門誌「総合ジャーナリズム研究」(発行所/社団法人東京社)に載っている。著者は、東京からロンドンのインディペンデント紙とアイリッシュ・タイムズ両紙に記事を送っているデビッド・マックニール氏。

これを読むと、日本が世界(というか、ま、欧米なんだけど)のメディア界から見捨てられつつあるようすが、ありありとわかる。マックニール氏によると、経済関係のニュースを提供する組織の成長を横目に、海外各紙は続々と東京支局を閉鎖し、中国やその他の国へ海外特派員を送っている。過去2年間だけで、米紙ではクリスチャン・サイエンス・モニター紙、シカゴ・トリビューン紙、ロスアンゼルス・タイムズ紙、英国紙ではデイリー・テレグラフ紙、ガーディアン紙、その他のヨーロッパの有名紙が、日本支局を閉鎖あるいは縮小した。さらに悪いことには、日本発の英字誌として長年の実績をもっていたジャパン・クォータリー誌への支援を朝日新聞社がやめ、廃刊になった。

このような撤退劇は、「諸外国の日本に対する認識にとっては凶報である」とマックニール記者は書く。「微妙なニュアンスや深みのある記事を減らし、新興宗教・やくざ・芸者・自殺といった『奇妙な日本』についての偏った記事を増やすことになる」からだ。現役の記者としての経験をふまえて、彼は言う。「記事を書き出した三年前、私は決して『奇妙な日本症候群』には加担しないと堅く心に誓っていた」。そして三年後のいま、自分で書いた200本近い記事を見直してたところ、最大かつ最重要な記事は、新興宗教、やくざ、自殺に関するものだったと言う。「なんとか芸者については避けることができた」し、重要な政治関連のニュースや経済の分析も書いた。だが、日本の全体像をバランスよく描いたかというと、「答えは否。日本は非常に奇妙に描かれている」んだそうだ。

なぜ、そんなことになるのか?マックニール氏が示唆する原因のひとつは、日本が豊かで退屈で事件に欠ける、「アジアのスイス」になったから。次ぎに新聞社のふところの事情。激しい競争と部数低下への対応のため、大衆受けするタブロイド紙的特集記事が求められている。さらに、きめ細かい記事に興味をもたぬ編集者の無知。そのため特派員、さらにそれ以上に立場の弱いフリーランスの記者は記事を売るべく心ならずも編集部受けのする記事を書くことになる。「もちろん日本を真面目に捉える少数の識者用出版物に執筆することもできるわけだが、汗水たらして8000文字の論文を書いたところで、読むのはほんの一ダースほどの人々だ」とマックニール氏は書く。良心的な記者にとってはまさに四面楚歌。日本報道にとってはかなりやばいことになっているわけだが、そんな中で、日本政府はいまだに「外国人特派員の執筆を故意に妨害して」、すましている。

そういえば、ニューヨークのテレビでも毎朝、オンエアされていて一般のアメリカ人にも簡単にアクセスできる「フジ産経ニュース」が、去年、突然、英文字幕の掲載を中止した。予算削減ということなのだろうが、毎朝、テレビの前にすわって日本のできごとを眺めるのを楽しみにしていた筆者のアメリカ人のつれあいは、「せっかく毎日、見てたのに」と数少ない英語での情報源の消失に腹をたてることしきり。「ジャパン・クォータリー」にしろ、こんなところでケチってては、日本の未来は暗いゾ。自分をよりよく知ってもらう努力もせずに、わかってほしいとすねたって、世間の風は甘くない。世界第2か第3の経済大国なんでしょ、いまだって。ま、ほんとに「アジアのスイス」なのなら、「アジアのアメリカ」よりかは、まだましだとは思うけど。(by 宵っぱり)