写真で「アメリカ人とは?」を問う
Only Skin Deep展

(2004年2月29日まで開催中)

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ニューヨークの国際写真センター(ICP)で暮れに始まったこの展覧会は、アメリカ社会を語る上で避けられない人種の問題を、写真を用いて問いかけるもの。人工的に建国されたこの国では、それが、アメリカ人の定義を問うことにつながるようである。

写真が発明された19世紀半ばのこの国は、奴隷制度末期で、まだ人種差別まっさかりだった。この新しいメディアの効果を試すために、写真機を買う余裕のあった白人たちは、自分たちとは違った人々、つまりネイティブ・アメリカン、黒人、移民でやってきた中国系などを写真に収めたであろう。そして女のヌードも。

以前、ニューヨーク歴史協会でリンチに関する写真展を見たことがある。これを見て驚いたのは、20世紀初頭には、リンチ写真が、絵葉書として出回っていたということだ。絵葉書を送ったり、もらったりした人々は、「奇妙な果実」を見て優越感に浸ったのだろう。同時に撮影した側の優越感も共感したはずだ。写真には、常にこうした力関係がつきまとう。

「Only Skin Deep」は、上記の問題も含めて、150年に渡る写真史の中からテーマ別に300点ほどの写真付きのポスター、ちらし、記事、映画のスチール、ビデオを集めた検証する展覧会である。だから、肖像写真に始まり、人類学的見地に立った記録写真、科学写真、フォトジャーナリズム、風景写真、シュルレアリズム、エロチカまで、ジャンルもさまざま。登場する写真家もスタイケン、ドロシー・ラング、マン・レイ、エバンスからナン・ゴールディン、ニッキ・S・リーまでいろいろである。

通常よりも展示用の壁を増やして、1階と地階にぎっしりと展示されているため、気合いを入れないと全部鑑賞するのは大変だ。準備に3年を費やしたという、ゲスト・キュレターでパフォーマンス・アーティストのココ・フスコの意気込みが感じられる。アメリカ人向けの企画であるが、世界に共通する問題を扱っているから、見逃せない。(八巻由利子)

http://www.icp.org

関連のオンライン・ギャラリーにも力を入れている

Zig Jackson (b. 1957)
Indian man on the Bus, from the "Indian in San Francisco" series, 1994
Copyright: Zig Jackson
Courtesy of the artist