たまたま日�

Text by 森周�


第4回 〜「女の大トク」�


 キャビネ�メーカーになりた�、��家具が作れるよ�なりた�、その�若きコは言��であった。聞け�、あのコーネル大学のイン�ア�イン科を卒業したと言�はな��

 コーネルと言え�、アイビ�リーグの一流�である。あそこを�れ�、それでなくても�て�胸をより張って、あまた�有名建築、イン�ア�イン事務所で働ける�である。ヒ��でトレン�ーな若き�ロフェ�ョナルに混ざり「見て見て、可愛い私を見て。でも触っち�メ」と、人生�花の時を笑って暮らして�るものを。�好見てくれ勝�の年ごろが、なに�って�な��カイシャで働きたいと言��であろ��

 私�タタキ大工上がりである。しかもアメリカで、たまたま、なったタタキで、ち�と質が落ち�"上が�"なのである。それにわたしが通った後には首ナシ死体がゴロゴロすると言�アブナイ性格なのである。�が身のトロさを棚に上げ、つたな�用人をなじり、すぐ首にする男なのである。これまで何人のクピを�たことであろ�こ��間を中国人は"他��陥告発奴"と言��である�

 しかしながら私�ようなヒドイ男でも、罪の意識と言�のは持って�のである。「他�国に来て、他�人の職を奪って�」と言�を、若�の「ナニ�ナニを奪ってしまった。ど�よう」と思い違いさせられた”罪”とは全く別の重いも�が�

 まして�アメリカ人のウラ若が家具を作りたいと、苦界とまでは言わな�でもダサイ職人に身を落とすと言�はな�。学生��悪�でも続んで�のであろ�ど、「健気にも」と初老�男の下�な�のをゆするのであった。そして、その妙齢が私�ところで働き始めると、その噂�またたく間にこ�ブル�リンの一角を�回った�であった�

 �ら女気�少な�場地帯とは�、知り合��隣人達�ほとんどが用ありげな顔して立ち�のである。いつもク�ーを奪�来る、なつき�悪�犬でさえも、彼女に気に入られようとシ��をフリフリするのであった。この『ジパング』からも二匹の若�スが�取りにかこつけて、犬より�らしなくロを開けて肪ねて来たこともあったっけ�

 「女ってトク�よなあ」と、時��を殺しながら私�思うのである。評判、悪評とり混ぜた12年のわが社である。それに私�ヒ�をみて、�ンな家具を作る男である。それを見てこ�冬、ブル�リン・ミュージア�がツアーを送ってきたのである。ガイドに引率されたヒマな老若男女のグループが、アー�ストやクラフトマンのスタジオを訪ね歩く�である�

 これは職人の誉れであると。少しは悪評�帳消しに役立つと。この際だからわが日本の伝統技をタ�リと披露して����と、日�ったに研がな�ミ、カンナをピカピカに、その日を迎えた�であった。が、年甲斐なく�40人ほどの団体を見てアガ�しまった私�英語がよく通じなく、人垣は�の間にか彼女の回りに出来た�である。「アンタがこれを作った�か?  もうノミ�ンナが使えるのか? たいしたも��、若��に」と。結局そ�日の私と男の職人ども�、私�道�と同様に単なる彼女の飾りで終った�であった�

 彼女はハレのコである。今ではわが社の顔である。木工技術だけ覚えても、木を見て森を見ずの人になるとトクイのセリフで�、嫌がるデスクワークまで彼女に押し付けて�ら「彼女��いな�じ�た!」と建築家�達が私�頭越しに仕事を進めるのである。ち�と淋し�もするが、これ�よいことであると。いずれは何もしな�金が入ってくると、一人、女衒�ごとく私�笑った�であった�

 �が、私とて、前面に出たいと思う時があるのである。特に、客がかの女優、メリル・ストリープだったりしたら。ニューヨークでこ��をして��ら�、いずれはこ�手�有名人にぷつかるのであるが、彼女は別格である�

 そ�昔、ヴィレ�の小便臭�画館で見た『ディア ハンター』、なんと可憐なひとと一人泣き、『ソフィーの選択』でまた泣�あ�ひとなら�私�会いたいと。彼女のためなら、何でもしますと�

 こ�世に醜いも�は数あれど、年老いた男のミ�ハ�化ほど醜くく哀れなも�はな�来る�会う人、あげくの果ては日本の友人達にまで「メリルさんから仕事が来た来た」と言��らし、「�しゃぎ過ぎ」とウラ若からクギを刺された私であった。半年ほどかかった仕事が��終る�つ�そ�X-dayは来た�であった。建築家が「�日は来る」とコ�リ教えてくれたその日、私�朝風呂に入り身を�、真新しい下着を身につけ、ジーンズにアイロンまでかけて家を�た。若�����女に会う儀式が自然と�た�であった�

 そして我�最後�キャビネ�を取リ付けて�と、彼女とそ�ダンナが現われた�であった。「良�事�りであった」とそ�人から御言葉が全員に発せられたのであった。思わず��ノが込み上げて来そうになって�私に、その人が歩み��って来るではな�。と思いきや、その人もやはり「ウラ若」�前で立ち止まった�であった。「あなたも作り手か、ワンダフル」と�

 そして女神に突き放された私�、�のような大男のむさ苦しいダンナにつかまり、あそこを直せと隣の部屋に連行されたのであった。背後から聞こえて来る二人の軽�な笑い声を聞きながら、私�思うのであった。「ああ、女って、大トク�よなあ」と�

05/01/1997・月�「ZIPANGU」vol. 21